2024年4月、歌人・川村有史さんの歌集『ブンバップ』が刊行されました。
川村さんは2021年に第3回笹井宏之賞永井祐賞を受賞。ヒップホップカルチャーを出自に持つ語彙と、その空気感を持ち込むような文体で高く評価されました。そのヒップホップ的世界観は、満を持して刊行された今回の第一歌集で存分に発揮されています。
このたび、『ブンバップ』の刊行を記念して川村有史さんのトークイベントを開催します。
ゲストは同じく今春に『最後の音楽:|| ヒップホップ対話篇』を刊行した批評家・ビートメイカー・MCの吉田雅史さん。
吉田さんは、短歌ムック「ねむらない樹」に寄稿した短歌とヒップホップの共通性を探る論考でも注目されており、イベントでは響きあう短歌とヒップホップについて、自由闊達に語り合っていただきます。
両ジャンルの流れや大枠をおさえながら、具体的に『ブンバップ』は、短歌は、どうヒップホップ的なのか、またヒップホップはどのように短歌的なのか、ふたりの視点から深堀りしていきます。
《退屈もvibesだって言う人が僕の友達 Tシャツを干す》
川村有史『ブンバップ』より
《人が言葉を用いてなにがしかを記す、その表現の仕方の核心において、実は両者には想像以上に共通点があるのではないか。だからもっと互いのことを観察してみても良いのではないだろうか》
吉田雅史「ヒップホップ短歌試論」より(「ねむらない樹」vol.11収録)
短歌とヒップホップ、どちらか一方に親しんでいる読者も大丈夫!
異なるジャンルの響きあいを味う一夜をどうぞお楽しみに。
【登壇者プロフィール】
川村有史(かわむら・ゆうし)
1989年青森県青森市生まれ。群馬県在住。2012年頃より作歌をはじめる。2015年頃まで歌誌「かばん」に所属。2020年、「退屈とバイブス」で第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞。2022年、第10回現代短歌社賞佳作。2024年に第一歌集『ブンバップ』。
吉田雅史(よしだ・まさし)
1975年生まれ。批評家/ビートメイカー/MC。2023年に『脱皮とて…』をリリースしたヒップホップ・コレクティヴ、口頭遊民ダコタを引率。著作に『ラップは何を映しているのか』(大和田俊之、磯部涼との共著、毎日新聞出版)、『最後の音楽:|| ヒップホップ対話篇』( 荘子itとの共著、DU BOOKS)、翻訳に『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』(ジョーダン・ファーガソン著、DU BOOKS)。単著『アンビバレント・ヒップホップ』をゲンロンよりリリース予定。